2010年9月15日水曜日

Comparative Analysis of Competition Laws on Buyer Power in Korea and Japan

"World Competition"の2010年33巻3号に自分の論文が掲載されました。
Yo Sop Choi and Kazuhiko Fuchikawa, Comparative Analysis of Competition Laws on Buyer Power in Korea and Japan, World Competition 33, no. 3 (2010): 499-519.

韓国と日本の「バイヤー・パワー」、つまり「買手の市場支配力」に関する規制について論じた論文です。韓国と日本は、「バイヤー・パワー」規制に関する大きく分けて3つの問題点を共有しています。その問題点とは①不公正な取引方法と私的独占の重複に関する問題、②大規模小売業者の市場支配的地位の推定に関する問題、そして③買手の市場支配力の反競争効果と競争促進効果の判断に関する問題です。本論文では、両国の法制度とケースを取り上げながら、この3つの問題点について取り扱っています。是非、ご興味があれば、ご覧ください。手に入りにくい場合には、ご連絡頂ければお渡しさせていただきます。

トイザらスによる優越的地位の濫用に公取委が立ち入り

公取委が玩具販売最大手の「日本トイザらス」に立ち入りをしました。納入業者に値引きした額の一部を不当に負担させたこと、在庫の不当な返品が問題となっているようです。優越的地位の濫用に関しては、必ずしも市場への影響を立証する必要がありませんが、玩具販売最大手の「日本トイザらス」が大手玩具メーカーに対して買いたたきを行っていたとすれば市場への影響もあったのではないかと思われます。また、平成21年独禁法改正により、優越的地位の濫用に対しては、「継続して」行われていた場合、当該行為の納入業者との間における売上高の1%の課徴金が課されることになります。今後の動向を注視していきたいと思います。


「トイザらス:公取委が立ち入り セール値引き分を業者持ち、優越的地位乱用容疑」
(出典:毎日新聞 2010年9月14日 東京夕刊)
<http://mainichi.jp/select/biz/news/20100914dde041020007000c.html>
「玩具販売最大手の「日本トイザらス」(川崎市)が、メーカーなど納入業者に安売りセールの値引き分を負担させていた疑いが強まったとして、公正取引委員会は14日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで本社など数カ所を立ち入り検査した。同社は全世界で玩具販売チェーンを展開する米トイザラスの日本法人。公取委が優越的地位の乱用の疑いで外資系企業に立ち入り検査するのは初めてという。【桐野耕一】」