2008年4月30日水曜日

製紙会社8社に対する排除措置命令

平成20年4月25日、公取委は、再生紙の古紙配合率を偽ったとして、大手製紙会社8社を景表法4条1項1号(優良誤認)違反として排除措置命令を行いました。古紙100%と表示しながらも、実際は50%程度しか古紙が含まれなかったケースがあったようです。通常、古紙が多く含まれた方が品質は劣るはずではありますが、リサイクルということに価値を置けるとするならば、表示よりもリサイクルを行っていなかったということになるのでしょう。その意味では、同法4条1項1号の「著しく優良」とは品質だけではなく、リサイクルといった社会的に評価されるべき価値も含まれると解することができると思います。

製紙会社8社に対する排除措置命令
平成20年4月25日
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.april/08042501.pdf

2008年4月25日金曜日

MSの控訴を却下、「Vista Capable」集団訴訟再開

MSが「Vista Capable」と広告したことは消費者に混乱を招いたとして訴えられているようです。
日本の独禁法で言えば少なくとも一般指定8項ぎまん的顧客誘引に該当し独禁法19条違反になると思います。本件では、事実関係を確認する必要がありますが、シャーマン法2条が適用が争われている事例かもしれません。そうだとすると、市場画定及び市場への悪影響をどのように判断したかが気になるところです。また、故意に混乱を引き起こしたか否かについても問題となっているようなのでこの点も興味深い点です。また、改めて動向を追ってみたいと思います。

裁判所、MSの上訴を却下--「Vista Capable」集団訴訟が再開へ
文:Jennifer Guevin(CNET News.com)翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20372057,00.htm?tag=nl
2008/04/24 11:03
 「複数のメディアの情報源によると、「Vista Capable」集団訴訟に対するMicrosoftの上訴が米国時間4月21日に却下された。
 この訴訟の中心となっているのは、「Windows Vista Capable」と広告されていたPCを購入したが実際には、一部のグラフィック機能が欠けている「Windows Vista Home Basic」しか動作させる能力がなかったという消費者の苦情である。Vistaの上位バージョンを動作させるには実際には「Vista Premium Ready」というラベルがはられたPCを購入する必要があった。裁判所は、MicrosoftがVistaのリリース直前に、これらのラベルがはられたPCを販売することによって故意に混乱を引き起こそうとしたのかどうかを判断する必要がある。
 訴訟は、第9巡回区控訴裁判所からの裁定を待っていたため数週間にわたって保留されていた。Marsha Pechman判事は2月、この訴訟を集合代表訴訟として認めた。Microsoftは訴訟とこれに関連する開示手続きによって同社が金銭的な損害を被るとともに「OEM、卸売業者、小売業者の価格決定や戦略などの機密情報が侵害される」としてこの決定に対して控訴していた。
 現に開示手続きでMicrosoftが事前に予想していた以上の内容が明らかになった。Microsoftの幹部であるMike Nash氏が、「Vista Capable」というラベルのはられたノートPCを購入したときに自分でも混乱したと不満を述べた電子メールが公開され、そしてIntelがローエンドのチップセットを販売しやすいように、2段階のマーケティングキャンペーンを作成するようにMicrosoftに圧力をかけたという人々を当惑させる事実までもが明るみに出た。
 しかし21日の裁定は、この訴訟(およびスキャンダラスな開示手続き)を再開して良いということを意味する。
 Microsoftの広報担当者であるJack Evans氏はThe Seattle Timesにあてた電子メールで次のように述べた。「第9巡回区控訴裁判所による当社の中間審査の要求を受けいれないという決定は、当社の訴訟の実体に基づく裁定ではない。当社は連邦地裁自身が述べたところのこの目新しい請求が最終的には却下されると期待している」(Evans氏)」

2008年4月24日木曜日

公正取引委員会、JASRACに立ち入り

 日本音楽著作権協会(JASRAC)に公取委が立ち入りしたようです。着うた事件以来、公取委は、JASRACの動向に注意を向けているようですね。着うた事件以来、著作権のプールする行為が問題視されることとなりそうですが、レーベルモバイルと異なりJASRACの市場支配力は相当のものですから、私的独占(2条5項)の該当の余地もありそうです。
 この点、米国の音楽の著作権関係の事件として、BMI事件がありますが、著作権者と一括許諾契約を結ぶようであっても他の契約の選択肢を拒むことのないようにしていただきたいものです。

公正取引委員会、JASRACに立ち入り検査--著作権管理市場を独占の疑い
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20371984,00.htm?tag=nl
永井美智子(編集部)
2008/04/23 13:30
「公正取引委員会は4月23日、独占禁止法違反の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に立ち入り検査した。著作権管理市場への新規参入を妨げた疑いがもたれている。
 JASRACは放送局と著作権使用に関する包括利用許諾契約を結んでおり、NHKおよび地上波放送局に対して、放送事業収入の1.5%を使用料として徴収する代わりに、管理楽曲については自由に利用できるようにしている。公正取引委員会はこの点において、他の著作権管理団体の新規参入を妨げている疑いがあると判断した。
 今回の件についてJASRACでは『公正取引委員会の調査には全面的に協力する。また、結論を待って適正な対応をしていく』とコメントしている。」

2008年4月17日木曜日

日航、罰金110億円の支払いに米司法省と合意

JALは、2008年4月16日、米国司法省と罰金110億円の支払いで合意しました。国際貨物の航空運賃の値上げについて、ブリティッシュエアウェイズ、大韓航空、カンタスと価格協定を結んでいた模様です。日本の公取委は、この点について今のところまだコメントを出していませんが、米国のみならず、日本の公取委もこのような国際カルテルについて早期発見する必要があるでしょう。公取委は、2008年2月22日国際カルテルについてマリンホース国際カルテル事件について、米国司法省、欧州委員会の競争当局とともに規制に乗り出すとの声明を出しています(http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.february/080222.pdf)。今後はますます国際カルテルに関する国際的な取締が強化されていくでしょう。それとともに、企業のコンプライアンスに対する意識の改善が求められます。


日航、罰金110億円の支払いに米司法省と合意(日経新聞引用)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080416AT1D160DD16042008.html
「米司法省は16日、日本航空が国際貨物の航空運賃を巡り、カルテルを結んでいたことを認め、1億1000万ドル(約110億円)の罰金を支払うことで合意した、と発表した。日航は今後、法令順守体制の強化を迫られるが、ほぼ全額を既に損失計上しており、業績への新たな影響は避けられることになった。
 司法省によると、日航は2000年から06年2月にかけて、米国発・太平洋線などの国際貨物の航空運賃について、ほかの航空会社と談合を繰り返したという。原油高による燃料費の高騰を受けて導入した「付加料金」などについて、航空会社が共謀して価格をつり上げた疑いがあるとみているもようだ。
 同省は欧州当局とも連携して捜査を進めており、既に英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、大韓航空、カンタス航空にも罰金を科した。」

2008年4月16日水曜日

日EU競争政策シンポジウム International Cartels-EC and Japanese laws and policies




日EUシンポジウム@政策研究大学院大学 04,16,08 (14:00-17:30)
<パネリスト>
後藤氏(公正取引委員)
Mehta(欧州委員会)
Laina(欧州委員会)
渡辺氏(弁護士)
山本氏(公取委)

EU競争法と日本の独禁法に関するシンポジウムに参加してきました。
以下がメモ書です。速記ですので、詳しくは公取委ホームページ等でご確認下さい。

Regulation773/2004 is a provision about implements.

Investigation
Statement of objection
Access to file
Response by Parties
Oral hearing
Commission Decision
Appeals
Public Access to document

"Frequent Issue"
Availability and quality of evidence; There are 60~70 cases, and some of the cases are not sufficient to punish.
Single and Continuous infringement
Parental liability ; this issue is the one of the most controversial issues in the conference.

"Leniency"
Decisive evidences are needed. First notice published 1996. Second 2002 noticed "significant added value". Current 2006 says “targeted inspection “test is taken. Leniency features are reduction that first 100%, second 30-50%, third 20-30%, and subsequent companies will be up to 20% reduction. In order to receive leniency, parties have to submit evidences which EC commission will be able to carry out inspection and find an infringement. As to fining, Increase for deterrence will be taken up to legal maximum, 10% of global annual turnover.

"Parent company liability & undertaking"
Undertaking is about legal entities with human. Parent company liability is decided whether parent companies exercise decisive influence or effectively exercise. And it deserves to mention that a single undertaking will be presumed by owning 100% of Subsidiaries.


"Typical Problem"
Double jeopardy
Discovery
Private damage; Private actions are limited to the damage form illegal conduct.
Conflict between direct settlement and private damage.