2008年7月5日土曜日

NTT東日本事件に関して

 いわゆる自然独占と呼ばれるような分野でNTTが持っている不可欠施設を利用しないと他の企業が新規参入できないというのが電気通信の分野です。今回の事件では光ファイバーに関する価格設定が問題とされています。具体的には、公取委は、NTTが実際には実現が困難だと思われる需要予測から価格設定を行い、32分岐方式であるとしていたが実際には芯線直結方式で顧客にサービスを提供するなどの行為が私的独占に該当すると審決を行っています。ただし、新しい事業を始めるにはある程度低い価格を設定せざるを得ず、長期的に見た需要予測も必要との見解もあります。
 独占それ自体を有することそれ自体は問題ありませんが、自然独占が生じており独占状態にある企業は、市場へのインパクトを見て企業行動を行う必要があるということになります。ここからは私見ですが、独占者は独占者でない事業者よりも独禁法上違反とされやすいため酷とも思えますが、社会的に弱い立場に置かれたプレイヤーにとって最大限利益が得られやすいように「公正さ」が担保されるためには、必要な規制であると考えます。現在NTTは審決取消訴訟を提起して係争中。

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