2009年12月11日金曜日

公取委審判制度廃止

政府の方針として審判制度が廃止の旨が発表されました。企業結合案件など、高度な専門性が必要なものについても適切な判断が行えるのでしょうか。2010年秋の国会で独禁法改正案が通るのか否かが注目されます。これから裁判所がどのような運用をしていくのか。消費者の利益を守る独占禁止法を運用する公取委の権限が大幅に制限されることに関して、経済法の研究者だけでなく、少しでも多くの消費者が危機感を持つべきではないかと思います。

「公取委審判制度廃止へ 東京地裁に機能を移管 財界の不満に配慮」
(東京新聞、2009年12月10日 朝刊)

 政府は九日、公正取引委員会の審判制度を廃止し、その機能を東京地裁に移す方針を決めたと発表した。来年の通常国会に、廃止を盛り込んだ独占禁止法改正案を提出する。 

 審判制度は、公取委から談合などを指摘され課徴金納付命令などの処分を受けた企業が不服な場合、公取委に申し立てる制度。公取委自身が処分の妥当性を判断するとあって、経済界では「検察官と裁判官が同じだ」との不満が根強かった。

 記者会見した内閣府の田村謙治政務官によると、独禁法違反事件は経済的な専門性が高いことから担当を東京地裁に一元化する。従来、公取委が処分を出す前に企業側に説明している証拠については、新たにその閲覧まで認めるようにするなど、事前手続きをより丁寧にする。

 これとは別に、公取委が企業に調査を行う際、弁護士の立ち会いを認めるなどの防御権については、年明け以降に検討を始める。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は都内で記者団の質問に答え「経団連も前から主張していたことで、よかったと思う」と廃止の方針を歓迎した。

<公正取引委員会の審判制度> 独占禁止法違反事件で、排除措置命令などの行政処分を受けた企業が不服を申し立てる制度。公取委の審判官が裁判官の役回りとなり、企業と公取委の言い分を聞きながら、事実関係や処分内容の妥当性を審査する。通常の裁判の一審という扱いになり、裁判の判決に相当する「審決」に納得できない場合は、東京高裁、最高裁で引き続き争える。

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