2009年10月号の公正取引708号に自分の判例評釈が掲載されました。
渕川和彦「ウェイヤーハウザー事件連邦最高裁判決」公正取引708号45頁(2009)
本件は、略奪的高価購入(Predatory Bidding)に関して連邦最高裁が判断を下した初めての事例です。一般的に略奪的な行為としては不当廉売の方がよく見られますが、本件では、逆に高い価格などで買い占める行為が問題となった非常に珍しい事件です。私的独占としての不当廉売が略奪的価格設定(Predatory Pricing)ですが、本件では、略奪的価格設定のブルック判例基準(①コストを下回る価格設定②①の損失の埋め合わせの立証が必要)を略奪的高価購入に応用しました。ただし、ブルック判決基準と同様の批判、つまり、コストを上回る略奪的な行為(例えば、バンドリング・リベートなど)については、セーフハーバーを与えてしまうという問題があります。略奪的高価購入では、アウトプットの販売にかかるコストを基準としています。公正取引では、紙幅の制約があったので、改めて論文で取り扱いたいと思っています。
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