自分が参加した、公正取引委員会CPRC共同研究報告が公表されました。
小島泰友、渕川和彦「流通市場における買手パワー(Buyer Power)の競争への影響について―大規模小売業者を中心として―」
<本文>
http://www.jftc.go.jp/cprc/reports/cr-0410.pdf
<要約>
http://www.jftc.go.jp/cprc/reports/cr-0410abstract.pdf
買手市場支配力(Buyer Power)の規制について、特に欧州の企業結合規制を検討することで、日本法への示唆を試みています。また、補論にて各国競争法の優越的地位の濫用規制についても整理してあります。経済学者や実務家である公取委の職員の方と議論を重ねて執筆したものですので、是非ご覧ください。
2010年12月14日火曜日
2010年12月10日金曜日
ジョンソン・エンド・ジョンソン事件
公正取引委員会は、平成22年12月1日、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、「J&J」という)に対して、一日使い捨てコンタクトレンズの広告を通じた価格競争を回避するために、取引先小売業者に対して販売価格の広告を行わせないようににさせている拘束条件付取引を取りやめるよう排除措置命令を行いました。
J&Jは我が国における一日使い捨てコンタクトレンズの販売高について業界第一位であり、小売業者にとって、J&Jと取引することが営業上有利となっています。J&Jは、取引先小売業者に対して製品一覧表に「店頭以外で販売価格表示を行わないでください」と文言を記載し、さらにこれに従わない場合には出荷停止することもあり得る旨の説明を行っていたと認定されています。また、特定の大口取引先小売業者に対しては、リベートの支払いを行う「DDプラン」を行うこととし、DDプランの適用の選定に際し、ダイレクトメールを除く広告において販売価格の表示を行わないように求め、これに従わない場合にはDDプランを適用しないとしました。
公正取引委員会は、J&Jが、一日使い捨てコンタクトレンズについて、取引先小売業者が広告により販売価格を表示すること、また、特定の大口取引小売業者がダイレクトメールを除く広告において販売価格の表示を行うことを制限することは、それぞれ拘束条件付取引(不公正な取引方法12項)に該当し、不公正な取引方法を禁止する独占禁止法19条に違反するとして、独占禁止法20条2項に基づき排除措置命令を行いました。
J&J事件では、自己の供給する商品を購入する相手方に対して、販売価格を記載した広告を禁じることにより価格競争を回避しています。したがって、公取委は、自己の供給する商品を購入する相手方に対して、当該商品の「販売価格定め」る再販売価格維持行為(独禁法2条9項4号イ)として取り扱わなかったようです。このような価格維持のおそれがある拘束条件付取引は、再販売価格維持行為に準じて原則違法とされますが、現独禁法においては課徴金が課されないこととなります(ただし、繰り返して再販売価格維持した場合にのみ課徴金賦課される)。このような、再販売価格維持を目的とした拘束条件付取引に関しては、課徴金が課されないということになってしまうため、「販売価格を定め」るという要件を広く解釈して、本件を再販売価格維持行為として取り扱うことも今後必要となってくるのではないかと思います。
J&Jは我が国における一日使い捨てコンタクトレンズの販売高について業界第一位であり、小売業者にとって、J&Jと取引することが営業上有利となっています。J&Jは、取引先小売業者に対して製品一覧表に「店頭以外で販売価格表示を行わないでください」と文言を記載し、さらにこれに従わない場合には出荷停止することもあり得る旨の説明を行っていたと認定されています。また、特定の大口取引先小売業者に対しては、リベートの支払いを行う「DDプラン」を行うこととし、DDプランの適用の選定に際し、ダイレクトメールを除く広告において販売価格の表示を行わないように求め、これに従わない場合にはDDプランを適用しないとしました。
公正取引委員会は、J&Jが、一日使い捨てコンタクトレンズについて、取引先小売業者が広告により販売価格を表示すること、また、特定の大口取引小売業者がダイレクトメールを除く広告において販売価格の表示を行うことを制限することは、それぞれ拘束条件付取引(不公正な取引方法12項)に該当し、不公正な取引方法を禁止する独占禁止法19条に違反するとして、独占禁止法20条2項に基づき排除措置命令を行いました。
J&J事件では、自己の供給する商品を購入する相手方に対して、販売価格を記載した広告を禁じることにより価格競争を回避しています。したがって、公取委は、自己の供給する商品を購入する相手方に対して、当該商品の「販売価格定め」る再販売価格維持行為(独禁法2条9項4号イ)として取り扱わなかったようです。このような価格維持のおそれがある拘束条件付取引は、再販売価格維持行為に準じて原則違法とされますが、現独禁法においては課徴金が課されないこととなります(ただし、繰り返して再販売価格維持した場合にのみ課徴金賦課される)。このような、再販売価格維持を目的とした拘束条件付取引に関しては、課徴金が課されないということになってしまうため、「販売価格を定め」るという要件を広く解釈して、本件を再販売価格維持行為として取り扱うことも今後必要となってくるのではないかと思います。
2010年11月30日火曜日
ハマナカ毛糸事件(公正取引721号2010年11月号)
2010年11月号の公正取引(721号)に自分の判例評釈が掲載されました。
渕川和彦「ハマナカ毛糸の再販売価格の拘束」公正取引721号107頁(2010)
従来日本では再販売価格維持行為を原則違法の類型としています。他方、法体系は異なりますが我が国独占禁止法の母法とも言うべき米国反トラスト法では、2007年のLeegin判決において最低価格再販に対する当然違法の原則を覆し、合理の原則による判断を行うとしています。今回のハマナカ毛糸事件はLeegin判決以降の初めての審判審決であったため注目されましたが、改めて公取委は再販売価格維持行為を原則違法の類型であるとしたと解することができます。再販売価格維持行為の効率性による正当化について①二重独占を解消する最高価格再販の場合、②「ただ乗り(free ride)」防止の場合、③顧客へのサービス競争が促進される場合については検討される余地があると思います。ハマナカ毛糸事件ではこれらの再販売価格維持行為の効率性による正当化の余地については触れられていませんが、当該事件では、これらの正当化事由が認められず、反競争的な側面を容易に判断可能な事件であったと考えられます。今後、我が国独禁法において、再販売価格維持行為の正当化の余地について更なる議論が喚起されることが望まれます。また、我が国独禁法における「原則違法」と米国反トラスト法の「当然違法の原則」及び「合理の原則」の概念の異同について改めて検討する必要があるのではないかと思います。
渕川和彦「ハマナカ毛糸の再販売価格の拘束」公正取引721号107頁(2010)
従来日本では再販売価格維持行為を原則違法の類型としています。他方、法体系は異なりますが我が国独占禁止法の母法とも言うべき米国反トラスト法では、2007年のLeegin判決において最低価格再販に対する当然違法の原則を覆し、合理の原則による判断を行うとしています。今回のハマナカ毛糸事件はLeegin判決以降の初めての審判審決であったため注目されましたが、改めて公取委は再販売価格維持行為を原則違法の類型であるとしたと解することができます。再販売価格維持行為の効率性による正当化について①二重独占を解消する最高価格再販の場合、②「ただ乗り(free ride)」防止の場合、③顧客へのサービス競争が促進される場合については検討される余地があると思います。ハマナカ毛糸事件ではこれらの再販売価格維持行為の効率性による正当化の余地については触れられていませんが、当該事件では、これらの正当化事由が認められず、反競争的な側面を容易に判断可能な事件であったと考えられます。今後、我が国独禁法において、再販売価格維持行為の正当化の余地について更なる議論が喚起されることが望まれます。また、我が国独禁法における「原則違法」と米国反トラスト法の「当然違法の原則」及び「合理の原則」の概念の異同について改めて検討する必要があるのではないかと思います。
2010年10月21日木曜日
楽天も公取委にグーグル・ヤフー提携に対して違反事実の報告
米マイクロソフトだけでなく、楽天も違反事実の報告を行ったようです(独禁法45条1項)。今回シェアが9割を超えると報道されていますが、シェアはパソコンからの検索回数を用いて算出しているようですが、今回問題となっている市場が、広告掲載にかかわる取引であることを考えれば、パソコンからの検索回数だけでみたシェアは正確ではないでしょう。ただし、検索エンジン自体は消費者と事業者を繋ぐプラットフォームの役割を果たしているので、検索回数が無関係という訳ではありません。検索エンジンの技術提携が広告掲載にかかわる取引へどの程度影響があるのかについて、公取委の判断が注目されます。
asahi.com (2010年10月20日)
「グーグルとヤフー提携、楽天が待った『独禁法に違反』」
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201010190478.html
「ネット検索世界最大手の米グーグルが、日本のヤフーに検索技術などを提供する提携をめぐり、ネット商店街最大手の楽天が「実現すれば、グーグルの支配力が強まり、独占禁止法に違反する」として、同法に基づき、公正取引委員会に調査を求める手続きをとったことが19日わかった。米マイクロソフト(MS)も公取委に同様の申告をしており、有力なネット企業4社が日本国内で対立する構図となった。」
asahi.com (2010年10月20日)
「グーグルとヤフー提携、楽天が待った『独禁法に違反』」
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201010190478.html
「ネット検索世界最大手の米グーグルが、日本のヤフーに検索技術などを提供する提携をめぐり、ネット商店街最大手の楽天が「実現すれば、グーグルの支配力が強まり、独占禁止法に違反する」として、同法に基づき、公正取引委員会に調査を求める手続きをとったことが19日わかった。米マイクロソフト(MS)も公取委に同様の申告をしており、有力なネット企業4社が日本国内で対立する構図となった。」
2010年10月19日火曜日
リオ・ティントとBHPビリトン、統合を断念
リオ・ティントとBHPビリトンは統合は結局統合を断念したようです。日韓だけでなく、ドイツの当局も事業統合に反対の意を示していたとのことです。
時事通信社(2010/10/18-10:40)
「鉄鉱石事業統合を断念=独禁当局の難色受け-リオとBHP」
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a5%ea%a5%aa&k=201010/2010101800030
【シドニー時事】「英豪系資源大手リオ・ティントとBHPビリトンは18日、両社が進めていたオーストラリア西部の鉄鉱石生産事業を統合する計画を断念したと発表した。日本や欧州などの独禁当局から計画の承認が得られない見通しであることが明らかになったため。両社の価格支配力が強まるとの鉄鋼業界の懸念はひとまず払しょくされた形。」
時事通信社(2010/10/18-10:40)
「鉄鉱石事業統合を断念=独禁当局の難色受け-リオとBHP」
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a5%ea%a5%aa&k=201010/2010101800030
【シドニー時事】「英豪系資源大手リオ・ティントとBHPビリトンは18日、両社が進めていたオーストラリア西部の鉄鉱石生産事業を統合する計画を断念したと発表した。日本や欧州などの独禁当局から計画の承認が得られない見通しであることが明らかになったため。両社の価格支配力が強まるとの鉄鋼業界の懸念はひとまず払しょくされた形。」
2010年10月15日金曜日
BHP/リオティントの合併計画はどうなるのか?
公取委の松山総長がBHP/リオティントの合併について独禁法違反のおそれがあると指摘していたことを明らかにしました。韓国の競争当局も同様の見解なので、合併計画は破談になる可能性が高いようです。
産経新聞 2010.10.13 15:15
「独禁法違反「なるべく早く判断」 公取委が資源大手の事業統合で」
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101013/fnc1010131446015-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
「公正取引委員会の松山隆英事務総長は13日、英豪資源大手で鉄鉱石世界2位のリオ・ティントと3位のBHPビリトンに対し、9月下旬に鉄鉱石生産事業の統合計画が独占禁止法違反の恐れがあると指摘していたことを明らかにした。松山事務総長は両社への指摘について「最終判断ではない」とした上で「なるべく早く最終判断をしたい」と述べた。」
産経新聞 2010.10.13 15:15
「独禁法違反「なるべく早く判断」 公取委が資源大手の事業統合で」
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101013/fnc1010131446015-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
「公正取引委員会の松山隆英事務総長は13日、英豪資源大手で鉄鉱石世界2位のリオ・ティントと3位のBHPビリトンに対し、9月下旬に鉄鉱石生産事業の統合計画が独占禁止法違反の恐れがあると指摘していたことを明らかにした。松山事務総長は両社への指摘について「最終判断ではない」とした上で「なるべく早く最終判断をしたい」と述べた。」
公取委の日本トイザらスへの立ち入りの背景事情
公取委の日本トイザらスへの立ち入り調査の背景事情等を紹介した産経新聞のサイトを見つけたので、ご紹介します。
記事によれば、日本トイザらスの21年1月期決算の有価証券報告書を見ると、同社の売上高は前年比5・8%減の1801億2400万円で、特にゲーム機とおもちゃの売り上げが落ちていたようです。それにも拘わらず、売上利益率は上昇していたとのことです。売上高の減少を買いたたきによる経費削減で補てんしていたようです。優越的地位の濫用に対する課徴金賦課の初めての事例となるかが注目されます。
産経新聞 2010.10.11 19:00
「【疑惑の濁流】値引き強制、不当返品…日本トイザらスの“取引先いじめ”にメス 急成長の裏に何が… 」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101011/crm1010111901013-n1.htm
「トイザらス相模原店 運営母体であるトイザラス(米国)が日本マクドナルドと合弁し、日本に上陸して以来、豊富な品ぞろえでたちまち日本一の玩具チェーンに躍り出た「日本トイザらス」(川崎市)。ところが先月、納入業者に値引きを事実上強制するなどした独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査が入った。“取引先いじめ”ともいえる行為に、関係者は「氷山の一角で、大手チェーンは多かれ少なかれやっている商慣習。これを機に業界で考えていく問題では…」と話している。(三枝玄太郎)」
記事によれば、日本トイザらスの21年1月期決算の有価証券報告書を見ると、同社の売上高は前年比5・8%減の1801億2400万円で、特にゲーム機とおもちゃの売り上げが落ちていたようです。それにも拘わらず、売上利益率は上昇していたとのことです。売上高の減少を買いたたきによる経費削減で補てんしていたようです。優越的地位の濫用に対する課徴金賦課の初めての事例となるかが注目されます。
産経新聞 2010.10.11 19:00
「【疑惑の濁流】値引き強制、不当返品…日本トイザらスの“取引先いじめ”にメス 急成長の裏に何が… 」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101011/crm1010111901013-n1.htm
「トイザらス相模原店 運営母体であるトイザラス(米国)が日本マクドナルドと合弁し、日本に上陸して以来、豊富な品ぞろえでたちまち日本一の玩具チェーンに躍り出た「日本トイザらス」(川崎市)。ところが先月、納入業者に値引きを事実上強制するなどした独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査が入った。“取引先いじめ”ともいえる行為に、関係者は「氷山の一角で、大手チェーンは多かれ少なかれやっている商慣習。これを機に業界で考えていく問題では…」と話している。(三枝玄太郎)」
2010年10月10日日曜日
大型店出店の規制強化について
経済産業相が「さらなる大型店の展開によって地域社会の秩序に支障が生じる」と述べ、「規制を強化することが必要だ」としております。競争政策というよりも中小企業保護の色彩が強いもので、「競争」というより「競争者」を保護するものです。大規模小売店だから規制するというのではなく、小売業において公正かつ自由な競争が行われる基盤を整えていくことこそが大切なのではないかと思います。
「大型店出店の規制強化検討=地域社会の秩序に支障-経産相」(時事通信2010/10/07)
<http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010100700296>
「大畠章宏経済産業相は7日午前、大規模小売店の出店で地域の商店街が衰退している問題に関して「さらなる大型店の展開によって地域社会の秩序に支障が生じる」との認識を示した。その上で「規制を強化することが必要だ」と述べ、大規模小売店の出店規制強化を検討する考えを明らかにした。」
「大型店出店の規制強化検討=地域社会の秩序に支障-経産相」(時事通信2010/10/07)
<http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010100700296>
「大畠章宏経済産業相は7日午前、大規模小売店の出店で地域の商店街が衰退している問題に関して「さらなる大型店の展開によって地域社会の秩序に支障が生じる」との認識を示した。その上で「規制を強化することが必要だ」と述べ、大規模小売店の出店規制強化を検討する考えを明らかにした。」
2010年10月7日木曜日
米国反トラスト法における略奪的高価購入(Predatory Bidding)規制
慶應大学の「法学政治学論究」に自分の論文が掲載されました。
渕川和彦「米国反トラスト法における略奪的高価購入(Predatory Bidding)規制」法学政治学論究86号35-67頁(2010)
<要約>
従来、我が国の独占禁止法(以下、「独禁法」)では、買手の行為に対して必ずしも積極的に規制を行ってこなかった。しかしながら、平成17年の独禁法改正において購入カルテルについても課徴金が課されることとなり、買手の行為に対する規制への関心が高まりつつある。しかしながら、我が国独禁法では、支配型・排除型を問わず、買手が私的独占を行った場合に課徴金の対象とならない点を問題として指摘することができる。
この点、米国では、原材料となる原木の買占めによる競合会社の排除が問題となった、2007年のWeyerhaeuser事件がある。連邦最高裁は、売手側の独占と買手側の独占との理論上の類似性を指摘し、略奪的価格設定のBrooke判決の2段階の基準を略奪的高価購入に対しても応用して判決を下した。連邦最高裁は、まず、①略奪者である買手の高価購入により生じた生産品のコストが、生産品の販売で生じた収益を上回ることを生じ、次に、②独占力の行使を通じて、原材料価格を吊り上げた際に被った損失を埋め合わせる、合理的な見通しを有することを証明しなければならないとした。
Weyerhaeuser事件では、生産品である製材のコストを基準とした。本件で問題となった生産品の製材は、原材料が7割の価格を占めるという特殊な事情もあった。生産品の価格のコスト基準については、傾聴に値するが、慎重な対応が必要と考える。Weyerhaeuser事件は、買手独占が競争法上の問題となることを明らかにし、Brooke判決基準を略奪的高価格購入に適用している点で意義がある。しかしながら、Brooke判決基準同様、原告に厳しい立証責任を課しており、また、生産品のコスト基準、違法性判断基準の不統一など課題が多い。
Weyerhaeuser事件のような略奪的高価購入の問題は、我が国独禁法では、一般指定7項の不当高価購入、あるいは独禁法2条5項の私的独占に該当する行為と考えられる。特に、一般指定7項の不当高価購入については、運用例がなく、学説上も議論の蓄積が少ない。Weyerhaeuser事件では、略奪的高価格購入において、生産品のコスト基準を用いている。不当高価購入の「高い価格」の基準を検討する上で参考ともなるが、事業者困難性が公正競争阻害性ともなっているため、必ずしも生産品のコスト基準を用いる必要はない。
また、私的独占としての略奪的高価購入について、生産品のコスト基準は意義があると考えられるが、原材料が生産品の価格の7割を占めるようなウェイヤーハウザー事件とは異なり、加工に高度な技術が必要で生産品の価格が原材料と比べ著しく高くなるような場合には、この生産品のコスト基準は上手く機能しないと考えられる。
渕川和彦「米国反トラスト法における略奪的高価購入(Predatory Bidding)規制」法学政治学論究86号35-67頁(2010)
<要約>
従来、我が国の独占禁止法(以下、「独禁法」)では、買手の行為に対して必ずしも積極的に規制を行ってこなかった。しかしながら、平成17年の独禁法改正において購入カルテルについても課徴金が課されることとなり、買手の行為に対する規制への関心が高まりつつある。しかしながら、我が国独禁法では、支配型・排除型を問わず、買手が私的独占を行った場合に課徴金の対象とならない点を問題として指摘することができる。
この点、米国では、原材料となる原木の買占めによる競合会社の排除が問題となった、2007年のWeyerhaeuser事件がある。連邦最高裁は、売手側の独占と買手側の独占との理論上の類似性を指摘し、略奪的価格設定のBrooke判決の2段階の基準を略奪的高価購入に対しても応用して判決を下した。連邦最高裁は、まず、①略奪者である買手の高価購入により生じた生産品のコストが、生産品の販売で生じた収益を上回ることを生じ、次に、②独占力の行使を通じて、原材料価格を吊り上げた際に被った損失を埋め合わせる、合理的な見通しを有することを証明しなければならないとした。
Weyerhaeuser事件では、生産品である製材のコストを基準とした。本件で問題となった生産品の製材は、原材料が7割の価格を占めるという特殊な事情もあった。生産品の価格のコスト基準については、傾聴に値するが、慎重な対応が必要と考える。Weyerhaeuser事件は、買手独占が競争法上の問題となることを明らかにし、Brooke判決基準を略奪的高価格購入に適用している点で意義がある。しかしながら、Brooke判決基準同様、原告に厳しい立証責任を課しており、また、生産品のコスト基準、違法性判断基準の不統一など課題が多い。
Weyerhaeuser事件のような略奪的高価購入の問題は、我が国独禁法では、一般指定7項の不当高価購入、あるいは独禁法2条5項の私的独占に該当する行為と考えられる。特に、一般指定7項の不当高価購入については、運用例がなく、学説上も議論の蓄積が少ない。Weyerhaeuser事件では、略奪的高価格購入において、生産品のコスト基準を用いている。不当高価購入の「高い価格」の基準を検討する上で参考ともなるが、事業者困難性が公正競争阻害性ともなっているため、必ずしも生産品のコスト基準を用いる必要はない。
また、私的独占としての略奪的高価購入について、生産品のコスト基準は意義があると考えられるが、原材料が生産品の価格の7割を占めるようなウェイヤーハウザー事件とは異なり、加工に高度な技術が必要で生産品の価格が原材料と比べ著しく高くなるような場合には、この生産品のコスト基準は上手く機能しないと考えられる。
2010年9月15日水曜日
Comparative Analysis of Competition Laws on Buyer Power in Korea and Japan
"World Competition"の2010年33巻3号に自分の論文が掲載されました。
Yo Sop Choi and Kazuhiko Fuchikawa, Comparative Analysis of Competition Laws on Buyer Power in Korea and Japan, World Competition 33, no. 3 (2010): 499-519.
韓国と日本の「バイヤー・パワー」、つまり「買手の市場支配力」に関する規制について論じた論文です。韓国と日本は、「バイヤー・パワー」規制に関する大きく分けて3つの問題点を共有しています。その問題点とは①不公正な取引方法と私的独占の重複に関する問題、②大規模小売業者の市場支配的地位の推定に関する問題、そして③買手の市場支配力の反競争効果と競争促進効果の判断に関する問題です。本論文では、両国の法制度とケースを取り上げながら、この3つの問題点について取り扱っています。是非、ご興味があれば、ご覧ください。手に入りにくい場合には、ご連絡頂ければお渡しさせていただきます。
Yo Sop Choi and Kazuhiko Fuchikawa, Comparative Analysis of Competition Laws on Buyer Power in Korea and Japan, World Competition 33, no. 3 (2010): 499-519.
韓国と日本の「バイヤー・パワー」、つまり「買手の市場支配力」に関する規制について論じた論文です。韓国と日本は、「バイヤー・パワー」規制に関する大きく分けて3つの問題点を共有しています。その問題点とは①不公正な取引方法と私的独占の重複に関する問題、②大規模小売業者の市場支配的地位の推定に関する問題、そして③買手の市場支配力の反競争効果と競争促進効果の判断に関する問題です。本論文では、両国の法制度とケースを取り上げながら、この3つの問題点について取り扱っています。是非、ご興味があれば、ご覧ください。手に入りにくい場合には、ご連絡頂ければお渡しさせていただきます。
トイザらスによる優越的地位の濫用に公取委が立ち入り
公取委が玩具販売最大手の「日本トイザらス」に立ち入りをしました。納入業者に値引きした額の一部を不当に負担させたこと、在庫の不当な返品が問題となっているようです。優越的地位の濫用に関しては、必ずしも市場への影響を立証する必要がありませんが、玩具販売最大手の「日本トイザらス」が大手玩具メーカーに対して買いたたきを行っていたとすれば市場への影響もあったのではないかと思われます。また、平成21年独禁法改正により、優越的地位の濫用に対しては、「継続して」行われていた場合、当該行為の納入業者との間における売上高の1%の課徴金が課されることになります。今後の動向を注視していきたいと思います。
「トイザらス:公取委が立ち入り セール値引き分を業者持ち、優越的地位乱用容疑」
(出典:毎日新聞 2010年9月14日 東京夕刊)
<http://mainichi.jp/select/biz/news/20100914dde041020007000c.html>
「玩具販売最大手の「日本トイザらス」(川崎市)が、メーカーなど納入業者に安売りセールの値引き分を負担させていた疑いが強まったとして、公正取引委員会は14日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで本社など数カ所を立ち入り検査した。同社は全世界で玩具販売チェーンを展開する米トイザラスの日本法人。公取委が優越的地位の乱用の疑いで外資系企業に立ち入り検査するのは初めてという。【桐野耕一】」
「トイザらス:公取委が立ち入り セール値引き分を業者持ち、優越的地位乱用容疑」
(出典:毎日新聞 2010年9月14日 東京夕刊)
<http://mainichi.jp/select/biz/news/20100914dde041020007000c.html>
「玩具販売最大手の「日本トイザらス」(川崎市)が、メーカーなど納入業者に安売りセールの値引き分を負担させていた疑いが強まったとして、公正取引委員会は14日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで本社など数カ所を立ち入り検査した。同社は全世界で玩具販売チェーンを展開する米トイザラスの日本法人。公取委が優越的地位の乱用の疑いで外資系企業に立ち入り検査するのは初めてという。【桐野耕一】」
2010年6月15日火曜日
FTCがアップルを不公正な競争方法の疑いにより調査
FTCがアップルの排除行為に関して調査を行っているようです。Appleがモバイルソフトウェア市場における地位を利用して競合会社を排除しているかどうかが調査されいるようです。また、「iPhone」や「iPad」用のアプリケーションの作成に、Adobeの「Flash」やNovellの「MonoTouch」といった他のデバイスで動作するプラットフォームを使用することを禁じているようです。
「iPhone4」や「iPad」の発売で波に乗るアップルですが、反トラスト法との問題が今後どのような影響を与えるかが注目されます。
「FTC、アップルを不当競争排除の疑いで調査か--米報道」
<http://japan.cnet.com/news/business/story/0,3800104746,20415081,00.htm?tag=nl>
文:Erica Ogg(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年6月14日 11時26分
「The Wall Street Journal(WSJ)などは米国時間6月11日、Appleがモバイルソフトウェア市場における地位を不当に利用して、競合他社を競争から排除していないかどうか、米連邦取引委員会(FTC)が調査を開始する予定であると報じた。この調査では、「App Store」のルール改訂が焦点となっている。Appleは5月、「iPhone」や「iPad」用のアプリケーションの作成に、複数のデバイスで動作するプラットフォームを使用することを禁じた。この禁止対象には、Adobeの「Flash」やNovellの「MonoTouch」が含まれる。」
「iPhone4」や「iPad」の発売で波に乗るアップルですが、反トラスト法との問題が今後どのような影響を与えるかが注目されます。
「FTC、アップルを不当競争排除の疑いで調査か--米報道」
<http://japan.cnet.com/news/business/story/0,3800104746,20415081,00.htm?tag=nl>
文:Erica Ogg(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年6月14日 11時26分
「The Wall Street Journal(WSJ)などは米国時間6月11日、Appleがモバイルソフトウェア市場における地位を不当に利用して、競合他社を競争から排除していないかどうか、米連邦取引委員会(FTC)が調査を開始する予定であると報じた。この調査では、「App Store」のルール改訂が焦点となっている。Appleは5月、「iPhone」や「iPad」用のアプリケーションの作成に、複数のデバイスで動作するプラットフォームを使用することを禁じた。この禁止対象には、Adobeの「Flash」やNovellの「MonoTouch」が含まれる。」
2010年6月11日金曜日
米アップルの高機能携帯電話「iPhone」ユーザー向けのインターネット広告「iAd(iアド)」が競合関係にあるグーグルの携帯電話向けインターネット広告が締め出されるとして、米司法省と米連邦取引委員会が調査に乗り出したようです。
日本では、アップルに対して1999年に再販売価格維持の疑いで公取委が検査に入っており、最近では、アップル製品のインターネット通販停止が独禁法上の問題となるかが注目されましたが、いずれも不問にされているようです。参考<http://www.sankeibiz.jp/business/news/100427/bsb1004271940013-n2.htm>
商品選択の自由、低廉かつ高品質な商品が手に入るように、公取委の役割に期待したいものです。
Nikkei Web刊2010/6/11 18:13 「米独禁当局、アップル広告調査か 英紙報道 」
英紙フィナンシャル・タイムズは10日、関係者の話として、米アップルが7月に始める高機能携帯電話向けのインターネット広告「iAd(iアド)」を巡り、米独禁当局が競争阻害の有無を調べることを検討していると報じた。米司法省と米連邦取引委員会(FTC)のどちらが調査するかは不明で、実際の法的措置につながるかどうかも不透明だが、配信対象が約1億台に上り、注目を集める「iAd」はスタート前から波乱含みの展開となってきた。
iAdは「iPhone(アイフォーン)」ユーザーがニュースや実用ソフトなどを利用する際に画面の一部に広告を自動的に挿入する仕組みで、アップルは7日、効果的な広告配信に不可欠な利用状況などの情報収集を外部の広告会社に認める条件として「独立系」を明示した。
これに対し、携帯ネット広告最大手アドモブを買収して同市場に勢力を伸ばしたグーグル側が「我々は締め出される」(アドモブ創業者のオマール・ハモイ氏)と反発し、アップルとグーグルの対立が深まっていた。
アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は今月初め、iAdでの情報収集の制限は個人情報保護が目的としたうえで「他の広告会社を締め出す意図はない」と言明。アップルとグーグルの戦いが独禁当局を巻き込んで激しくなってきた。(シリコンバレー=岡田信行)
日本では、アップルに対して1999年に再販売価格維持の疑いで公取委が検査に入っており、最近では、アップル製品のインターネット通販停止が独禁法上の問題となるかが注目されましたが、いずれも不問にされているようです。参考<http://www.sankeibiz.jp/business/news/100427/bsb1004271940013-n2.htm>
商品選択の自由、低廉かつ高品質な商品が手に入るように、公取委の役割に期待したいものです。
Nikkei Web刊2010/6/11 18:13 「米独禁当局、アップル広告調査か 英紙報道 」
英紙フィナンシャル・タイムズは10日、関係者の話として、米アップルが7月に始める高機能携帯電話向けのインターネット広告「iAd(iアド)」を巡り、米独禁当局が競争阻害の有無を調べることを検討していると報じた。米司法省と米連邦取引委員会(FTC)のどちらが調査するかは不明で、実際の法的措置につながるかどうかも不透明だが、配信対象が約1億台に上り、注目を集める「iAd」はスタート前から波乱含みの展開となってきた。
iAdは「iPhone(アイフォーン)」ユーザーがニュースや実用ソフトなどを利用する際に画面の一部に広告を自動的に挿入する仕組みで、アップルは7日、効果的な広告配信に不可欠な利用状況などの情報収集を外部の広告会社に認める条件として「独立系」を明示した。
これに対し、携帯ネット広告最大手アドモブを買収して同市場に勢力を伸ばしたグーグル側が「我々は締め出される」(アドモブ創業者のオマール・ハモイ氏)と反発し、アップルとグーグルの対立が深まっていた。
アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は今月初め、iAdでの情報収集の制限は個人情報保護が目的としたうえで「他の広告会社を締め出す意図はない」と言明。アップルとグーグルの戦いが独禁当局を巻き込んで激しくなってきた。(シリコンバレー=岡田信行)
2010年6月7日月曜日
フランチャイズ本部と加盟店の関係改善に関する報告書
日本フランチャイズチェーン協会は、フランチャイズチェーンの本部と加盟店の関係を改善するために報告書を取りまとめました。当該報告書の対策として、まず、フランチャイズ業界として、①加盟店経営、②近隣出店、③加盟店相談、④見切り販売価格、⑤食品リサイクル、⑥国のルール、基準、が挙げられており、また、日本フランチャイズチェーン協会としての対応として、①加盟店実態調査の順次実施とさらなる対応策、②フランチャイズ相談センターの周知と利用促進、③フランチャイジー懇談会の開催、が挙げられています。
<http://www.jfa-fc.or.jp/folder/1/img/20100607133515.pdf>
平成21年6月22日、公取委は、セブンイレブン・ジャパンに対して、デイリー商品(劣化しやすい食品・飲料で毎日納入される商品)の見切り販売を禁止していたことが優越的地位の濫用であるとして排除措置命令を認定しています。
しかしながら、明確な理由を行わないままの近隣出店など、改善するべき点がいまだに数多く残されています。今回の報告書がフランチャイズチェーンの本部と加盟店の関係を改善するための嚆矢になればと思います。また、コンビニ加盟店による労働組合の結成など団結権を行使できる組織を作ることが今後望まれます。
日経新聞Web刊「FC協会、本部・加盟店の関係強化へ対策9項目 」
<http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819696E2E5E290E78DE2E5E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2>
2010/6/7 19:55
日本フランチャイズチェーン協会は7日、フランチャイズチェーン(FC)本部と加盟店の関係強化に向け、9項目の対策を盛り込んだ報告をまとめた。既存店の近隣に出店する場合の適切な対応の必要性や、消費期限の迫った弁当などを値下げする見切り販売を制限できないことなどを明記した。
大学教授や弁護士、加盟店代表、協会幹部らで構成する研究会がまとめた。最大手のセブン―イレブン・ジャパンが加盟店による弁当類の値下げを制限したとして公正取引委員会から排除措置命令を受けたことなどに伴い、協会として対応を検討していた。
<http://www.jfa-fc.or.jp/folder/1/img/20100607133515.pdf>
平成21年6月22日、公取委は、セブンイレブン・ジャパンに対して、デイリー商品(劣化しやすい食品・飲料で毎日納入される商品)の見切り販売を禁止していたことが優越的地位の濫用であるとして排除措置命令を認定しています。
しかしながら、明確な理由を行わないままの近隣出店など、改善するべき点がいまだに数多く残されています。今回の報告書がフランチャイズチェーンの本部と加盟店の関係を改善するための嚆矢になればと思います。また、コンビニ加盟店による労働組合の結成など団結権を行使できる組織を作ることが今後望まれます。
日経新聞Web刊「FC協会、本部・加盟店の関係強化へ対策9項目 」
<http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819696E2E5E290E78DE2E5E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2>
2010/6/7 19:55
日本フランチャイズチェーン協会は7日、フランチャイズチェーン(FC)本部と加盟店の関係強化に向け、9項目の対策を盛り込んだ報告をまとめた。既存店の近隣に出店する場合の適切な対応の必要性や、消費期限の迫った弁当などを値下げする見切り販売を制限できないことなどを明記した。
大学教授や弁護士、加盟店代表、協会幹部らで構成する研究会がまとめた。最大手のセブン―イレブン・ジャパンが加盟店による弁当類の値下げを制限したとして公正取引委員会から排除措置命令を受けたことなどに伴い、協会として対応を検討していた。
2010年3月18日木曜日
元詰種子カルテル事件(ジュリスト2010年3月15日号(No. 1396))
ジュリスト2010年3月15日号に以下の判例評釈が掲載されました。
渕川和彦「価格決定の枠組み合意とカルテル―サカタのタネ(株)ほか14名に対する件―東京高判平成20・4・4」ジュリスト1396号(2010)
渕川和彦「価格決定の枠組み合意とカルテル―サカタのタネ(株)ほか14名に対する件―東京高判平成20・4・4」ジュリスト1396号(2010)
2010年1月15日金曜日
米司法省が大豆種子関連事業大手に独禁法問題で調査
米司法省が市場シェアの高い事業者に対して活発に独禁政策を行っています。インテルのようなIT企業だけでなく、種子関連事業者もその対象となっています。日本でも元詰種子大手がカルテルを行い、課徴金が課されています。今後もこの事件動向を追ってみたいと思います。
米司法省、種子大手を独禁問題で調査(日経ネット2010年1月15日)
【ニューヨーク=武類雅典】米遺伝子組み換え種子大手のモンサントは14日、米司法省から同社の大豆種子関連事業の独占禁止問題について調査請求を受けたと発表した。第1世代の組み換え大豆用種子の特許が2014年に切れた後、「より高額の第2世代種子を仕入れる契約を結ぶよう働きかけている」と種子販売会社などから不満が上がっていたという。
モンサント側は「従来通り、司法省に協力する」と述べ、特許切れ以降も第1世代種子は仕入れられると強調した。
米国では、オバマ政権が誕生して以降、市場シェアが高いIT(情報技術)企業などに対して独禁政策で厳しい姿勢を示すことが目立っている。(15:03)
米司法省、種子大手を独禁問題で調査(日経ネット2010年1月15日)
【ニューヨーク=武類雅典】米遺伝子組み換え種子大手のモンサントは14日、米司法省から同社の大豆種子関連事業の独占禁止問題について調査請求を受けたと発表した。第1世代の組み換え大豆用種子の特許が2014年に切れた後、「より高額の第2世代種子を仕入れる契約を結ぶよう働きかけている」と種子販売会社などから不満が上がっていたという。
モンサント側は「従来通り、司法省に協力する」と述べ、特許切れ以降も第1世代種子は仕入れられると強調した。
米国では、オバマ政権が誕生して以降、市場シェアが高いIT(情報技術)企業などに対して独禁政策で厳しい姿勢を示すことが目立っている。(15:03)
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